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⑮最後の予選

 平成12年11月18日、インプラント学会の懇親会に出席した私は旧友と不覚にも遅くまで飲んでしまい、ホテルに帰ったのは午前1時を過ぎていました。普通ならそのまま寝てしまうのですが、相当アルコールが入っているにもかかわらず、目がさえて寝付けませんでした。洗面所の鏡の前で、何度もネタを繰りました。選んだネタは取っておきの「七度狐」、何百回と練習した得意ネタ。これが駄目なら自分の今までの落語が否定されるような恐怖のようなものを感じていました。正に背水の陣です。3時間ほど、うとうとしたでしょうか。ほとんど寝ていないはずなのに6時には目がさめました。早朝、「雷鳥12号」に乗り、一路、大阪の予選会場「難波グランド花月」を目指しました。演芸部門挑戦者は10組。予選は何度も経験済みですが、今回は今までの公開スタジオと違って、体育館のように広く、天井の高いレッスンホールで、テレビカメラの方を向いて演技を行うのです。場所が変わったせいもあり、極度に緊張しているのが自分でもわかりました。「次は吉田さん」と呼ばれ、マイクの前に立ち、「エー、古典落語でございまして、大阪の馬の合うた二人の男。お伊勢参りをしょうやないかと東へ東へとやってまいります。・・・・・・」と夢中でしゃべりました。2,3分たった頃にピンポン♪と合格チャイム。この日の合格は私と漫才の二組。何とか合格できました。「自分が否定されなくて良かった」という安堵感で全身の力が抜けました。こうして強行軍の2日間は無事終わったのでした。

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2010年06月05日 23:49に投稿されたエントリーのページです。

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