福団冶師匠に個人的に教えていただける約束をもらった私は一安心しました。ただその一方「素人名人会」の4度目の挑戦を考え出していました。最初は思い出になればと、気軽な気持ちでテレビ出演を思い立ったのでしたが、この頃には<何が何でも名人賞を取るのだ> という義務感に変わってきていました。しかし、「素人名人会」の番組自体が毎週放送されていたものが月2回になり、1回の月も出てくるようになりました。「ひょっとしたら番組が中止になるかも?」という心配もでてきました。さて、4度目のネタは何が良いだろう?今までは、とにかく3分間で出来るだけ笑いがある方が良いと考えて、ギャグがたくさんあるものをと新ネタを覚えてチャレンジしてきましたが、今度は自分の一番話し慣れた噺を選ぶことにしました。『七度狐』です。この噺には思い入れがありました。高校1年生の時、生まれて初めて落語のレコードを買い、最初に覚えたのがこの噺で、人前で演じたのは二、三度でしたが何百回と繰った落語でした。これでだめだったら仕方ないというとっておきのものです。そして、4度目のハガキを出して予選の連絡を待ちました。返信のハガキが届き、日程を見て愕然としました。平成12年11月19日(日)。この日は福井で行われる近畿・北陸インプラント学会の二日目で、事前登録も既に済ませていました。どうしても会わなければいけない人があり、福井にも行きたかったのです。迷いに迷った末、(18日に福井へ行って、19日の朝早く出れば大阪の予選に間に合う)と考え、どちらも参加する道を選びました。